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映画『セッション』

これは、ジャズドラマーを目指す青年が、アメリカでも有数の音楽大学に入学できて、そこでまさに文字通り鬼のようなフレッチャー先生(JKシモンズ)と出会い、成長していく話です。
成長というか、「父」と「子」との関係から一人の人間が自立していく話です。
 
主人公は父一人、子一人の家庭で育ち、大学に通いながらも実際の父親とは一緒に映画を二人で見たり、大学でくだんの先生との間に問題があると息子のことを心配して一緒に弁護士に相談にいったりします。
実際の父親をこのように書くと何かすごく甘やかしている父親のようにも聞こえますが、特段そのようなことがあるわけじゃないです。普通といえば普通です。
 
対してJKシモンズ演じる、先生はどうか。(このJKシモンズが凄いです。この映画でアカデミー賞をとったようです。)
学生たちをそれこそ同級生の見ているところで泣かすくらい追い詰めます。
僕は個人的、和食の修業時代のことを思い出しました。見ていて辛かったです。
主人公を評価したと思うと、ゴミのように扱ったりします。『あれは、お前を奮起させるためだった。素晴らしい音楽家にしていきたいだけだ。』と話す場面がありますが、なかなかすごいものです。
最後のステージでの嫌がらせなど、この先生は奮起させるという目的があったとはいえ、絶対に人格破たん者です。随所にそのような場面があります。異常です。
 
先ほどこの映画は「父」と「子」の話であるといいました。親と子の関係で、抑圧しすぎると子は享楽的になるというのが心理学の定説ですし、たいして、アドラー心理学の岸見さんがどこかで言っていましたが、子を甘やかしすぎると、自立できずに、大人になっても周りに自分への関心だけを強く求めるようになり、それが得ることができないと周りに暴力的になるといいます。僕もそういう人を見てきました。
 
この映画は「父」と「子」の関係から子が自立していく物語です。実際の父親はもちろん、先生も「父」として主人公に立ちはだかる存在です。
映画の中で何度か、引用される、チャーリー・パーカーが若いころにステージでシンバルを投げつけられるという挫折を味わうが、そこから奮起してサックスの練習をさらに積み重ね、一流の音楽家になるという話があります。
もちろん、すべての子がこのような状況にないと自立できないというわけではありません。
ただ、子は親から自立していかないといけません。自立とはなにかを知ることができる映画です。
 
また、最後のステージが素晴らしいです。
 
とてもおすすめです。